Various phase transitions induced by vibration, light, electric, stress, magnetic fields:
Glass structures actually have heterogeneity at various hierarchical levels. By controlling this non-uniform, i.e., inhomogeneous, structure of glasses, we aim to find glasses exhibiting new physical properties. We also focus on the development of phase change materials that switch the bonding features of electronic systems through the lattice-lattice phase transition.

振動・光・電場誘起相転移:ガラス構造は実はいろいろな階層レベルで不均一性を有します.この不均一性構造を制御することにより,新たなガラス物性の発揮を目指します.また,DVD・Blu-rayなどに利用される電子系の結合様式を新たな方式でスイッチングさせる相変化材料の開発などに取り組みます.

光相変化材料
物質に光が照射されたとき,固体中の電子や原子は光のエネルギーにより,基底状態から,よりエネルギー高い状態(励起状態)に遷移します.励起状態に至った物質は,反射率や電気抵抗などの物性値に変化が観測されますが,数ナノ秒から数マイクロ秒程度という短時間で基底状態に緩和します.一方で,特定の物質群においては,光照射によって結晶構造自体が変化し,長時間あるいは半永久的にその構造を保持することが知られており,光相変化材料と呼ばれています.例えば,Ge-Teを基本とする化合物群は,光照射によって結晶相からアモルファス相への相変化を可逆的に行うことが可能であり,DVDの記録用材料として用いられています.本研究室では,フェムト秒レーザーを利用し,相変化材料の相変化ダイナミクスの解明と,より短時間・省エネルギーで記録消去ができる材料開発を目指していきます.

 

金属ガラスの緩和挙動と構造不均一性
金属ガラスはここ10-20年の間に見出された新しい金属材料で,現在,物理・化学・工学の観点から活発に研究がなされています. ガラスは従来,酸化物ガラスなどの共有結合性やイオン結合性,などの比較的強固な結合を有するクラスター形成能の高い物質が主流ですが, 金属は当然でありますが主に金属結合から成り,一般的にクラスター形成能はそれほど高くないのにも関わらず, このような金属ガラスが形成されることは非常に興味深く,また謎です. これまで通常のガラスの世界では当然とされていた現象,例えばガラス転移は必ず結晶化温度以下にありますが, 金属ガラスの場合には,その逆転が起こったりもします.このように,金属ガラスを研究することにより, これまで未解決であったガラス転移に関する動力学や熱力学,また構造の観点からみた物性の異常性などを理解することができる可能性があります. 下図は,構造特性,熱力学的性質,ダイナミクスの3つの関連を表す図です.ガラスはそもそも非平衡物質であるため, すべての実験や理論において時間軸を導入することが必要です.本研究室では,このような観点から,ガラス転移,β緩和, ミクロ構造とナノ構造(構造の階層性)についてX線回折による静的構造,X線非弾性散乱による動的構造,超音波共鳴法, 高速熱分析などの新たな手法を用いて,金属ガラスの構造安定性とダイナミクスに関する研究を行っています.