材料の相転移を通して構造を制御し,新しい機能発現を目指す


ー材料組織学、熱・統計熱力学、微視的弾性力学、電気化学などの学問に基づき、「材料組織構造を制御することにより新機能を発現する材料開発」を目指しますー


 市坪は京都大学・材料工学専攻で2000年に,FePd合金の規則-不規則相変態に及ぼす外部応力・磁場効果に関する研究で博士学位を取得し,その後,大阪大学基礎工学研究科機械系の研究室で超音 波共鳴計測やマイクロメカニクスモデリングに関わる仕事を遂行し,2003年に東北大金研にて金属ガラスのβ緩和と構造不均一性に関する研究をとりかかり,2005年に京都大学材料工学に移り,金属 ガラス研究の継続と,機能性薄膜研究,そしてマグネシウムをキャリアとする蓄電池研究を遂行してきました.研究分野は多岐にわたっているように見えますが,概して歪を伴う相転移ダイナミクス に関する研究テーマを中心に,種々の興味深い相転移現象の解明と組織制御に関する研究を,基礎から応用にわたって行ってきました.
 特に固体‐固体相構造相転移の組織形成ダイナミクスの解明と外場印加による組織制御に関する研究,メガヘルツ振動を用いた金属ガラスのベータ緩和機構の解明とガラスの構造不均一性に関する 研究,蓄電池系における電極材料組織学の構築,光誘起相変化材料の高速相変化機構の解明,チタン合金のω変態に関する研究に取り組む所存です.例えば,金属ガラスでは,ガラス転移で形成され ると考えている構造不均一性を利用して如何に塑性変形を可能にするかということが目標になりますし,チタン合金で未だミステリアスなω変態を制御して構造材料にも生体材料にもできる学術構築 と技術開発,蓄電池電極材料においてはキャリアイオンの脱挿入に伴う歪場を伴う相転移現象の理解に基づき新蓄電池を社会に提供することを目指しています.また,これまで主に熱力学的相転移を 取り扱っていましたが,新たに電子系光励起に伴う結合様式の変化に基づいた新たな相変化機構を有する材料の提案をしたいと考えています.

    ■ エネルギー材料開発

  • 蓄電池電極材料
    キャリアイオンが挿入・脱離すると、新しい相に相転移し歪も生じるが,そのような状況においても安定的に使用できる構造を有する材料開発に取り組みます。また,新たな電池系構築を目指します.
  • 熱電材料
    熱電変換材料:莫大な未利用エネルギーである300℃以下の低温廃熱を直接電気エネルギーに変換することができる環境調和型の熱電変換材料の開発を目指します.
  • 酸化物の組織構造制御による機能性発現
    スピネル酸化物や層状岩塩構造などを構造レベルで制御し,メゾスケール組織形成制御をすることにより,キャリアイオンの脱離挿入電位を変化させたり,拡散を容易にさせたりすることを目指します.

      ■合金の相転移挙動

  • 構造材料を目指した合金の相変態の理解と物性制御
    ニッケル基合金やチタン合金のω変態などの基礎的理解に基づく構造・生体材料開発などに取り組みます。

      ■ガラス材料の振動・光・電場誘起相転移

  • 金属ガラスの複雑緩和挙動の解析
    ガラス構造は実はいろいろな階層レベルで不均一性を有します。この不均一性構造を制御することにより、新たなガラス物性の発揮を目指します。
  • 半導体光励起相転移材料の開発
    DVD・Blu-rayなどに利用される電子系の結合様式を新たな方式でスイッチングさせる相変化材料の開発などに取り組みます。