アモルファス相変化記録材料の局所構造をモデル化する技術を開発 ―わずか数十個の原子からなる信頼性の高い局所構造モデル―
Physical Review Letters 120, 205502 (2018)
2018/05/21 プレスリリース
発表のポイント
アモルファス物質の局所構造を微細な電子線の回折からモデル化する技術を開発
相変化記録材料への応用によって光ディスクなどの記録メカニズムの理解の進展を後押し
さまざまなアモルファス材料の特性の理解やアモルファス・デバイスの高性能化に期待
概要
金属材料研究所の市坪哲教授は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)産総研-東北大 数理先端材料モデリングオープンイノベーションラボラトリ(MathAM-OIL)平田 秋彦 チーフリサーチャー、東北大学材料科学高等研究所(AIMR)とともに、アモルファス物質の局所構造をモデル化する技術を開発し、アモルファス相変化記録材料の局所構造の特徴を明らかにしました。
近年、光ディスクのさらなる性能向上のため、記録層に用いられるアモルファス相変化記録材料の構造を高精度に解析する手法が求められています。今回開発した手法では、リバースモンテカルロ法という従来はX線回折などの平均構造情報に対するアモルファスのモデル化手法を、極微細な電子線の回折を測定するオングストロームビーム電子回折法に適用しました。従来のリバースモンテカルロ法と比べてより直接的に局所構造をモデル化できます。
この手法で相変化記録材料のアモルファス構造の局所構造を解析したところ、結晶の構造に近いが極度にひずんでいました。今回開発した手法により、さまざまなアモルファス材料の構造・機能解明が進展すると期待されます。
本成果は、に米国物理学会誌『Physical Review Letters』(米国時間5月18日)に発表されました。