2022年3月に修士を修了した卞篠(Bian, Xiao)さんの修論研究の内容が,ACS Applied Energy Materialsより論文として出版され,プレスリリースを行いました.
ハイエントロピー酸化物を用いたリチウムイオン電池正極材料に関する論文で,本アプローチによる材料合成の取り組みは日本ではおそらく初めて,世界でも先駆的な研究のひとつになると思います.また本研究では,充放電時にハイエントロピー酸化物中で進行する結晶・電子構造変化の詳細を明らかにすることで,一見すると組成が複雑でとらえどころがないように見える「ハイエントロピー酸化物電極材料」の性質がどのように決まるのかを明らかにしました.それらの結果を踏まえ,本論文は材料開発そのものの報告だけでなく,複雑な組成のハイエントロピー酸化物において,どのように材料設計を行うべきなのかという指針を示す内容となっています.
論文は米国化学会から出版されているACS Applied Energy Materials誌に掲載され,東北大からプレスリリースされるとともに,その内容は日経新聞のプレスリリース記事,並びに一般記事としても取り上げられました.